テーマ:「家族会議in明光義塾」

 20××年10月、明光義塾田無教室は、たくさんの生徒やそのご家族から信頼されて、6年前に800番だった会員番号が、今では1500番を超えた。テスト対策の相談にいらっしゃる生徒とそのお母様、定例面談を受けにいらっしゃる生徒とご両親、塾生から紹介され入会面談に来塾する親子など、毎日多くの来客者が出入りする日が続いている。

 20××年10月28日(水)、午前中にお気に入りのトレンチコートを冬の始まりに備えてクリーニングに出した日、田無教室の落合教室長は、いつもと同じ電車を利用して出勤した。益山・小堤副室長との授業準備後、飛び込み客の対応や主任講師の小林先生との打ち合わせなどをしているうちに、あっという間に授業開始時刻となり、それぞれの目的を胸に、生徒が続々と笑顔で入室してくる。

 午後5:00に予定通り、中3生のあすかさんとそのご家族が定例面談にいらした。付き添いでいらした弟の祐輔くんが飽きないように、立てかけてあった絵本を手渡し、ひととおり授業報告を行った後、本題である志望校の相談に移った。あすかさんはいつもと違い、終始うつむきかげんでいる。お父様は、「出来る限りレベルの高い都立高校に行ってほしい。」と一言話し、口を真一文字に閉ざしたまま無言のままだ。一方、お母様は「私立単願推薦か否か迷っているんです…。」など受験に対する不安をずっと話している。

 落合教室長はまず、聞き役に徹しながらも、「ご家族そろって面談にお越しいただいたからには、考え方のまとまっていないこの3人の方向性を導いてあげられるような時間にしてあげたい。」と考えた。次に、これまでの成績・模擬試験結果などを分析し、昨年の受験データに当てはめた現状報告をした。その際、分かりやすいように説明を心がけたのが功を奏し、受験というものを具体的にイメージ出来たようで、真剣な面持ちで耳を傾け聞いていただけた。最後に「あすかさんは、都立A高校の受験を希望されています。本人の希望を尊重し、期末テストと12月の模試の結果で最終的な判断をしてはいかがでしょうか?」と提案した。一瞬、初めて聞く我が子の意見にご両親は驚いたようだったが、本人の真剣な志望理由がわかると、すぐに家族は笑顔に変わった。落合教室長は、そのとき家族がひとつになったように思えた。午後6:00面談は終了し、自転車で家路につく仲むつまじい4人の後ろ姿を見送る。とても嬉しい瞬間だ。

 最近は、このようにご家族そろって明光義塾に足を運んでいただける機会がとても増えている。親に本音を言えない子供や、子供相手だとつい厳しいことを言ってしまうご両親にとっての、いわば家族会議の場所として明光義塾があり、教室長はその会議の司会進行役である。明光に行けば解決できる、そんな信頼を寄せていただいている。今回の面談では、あすかさんの希望を事前の生徒面談でじっくりと聞いていたこと、お父様・お母様の意見をしっかりと引き出せたこと、教室長がその場の自分の役割を考え行動に移したこと、そして何より、この家族に笑顔で帰ってほしいと願った教室長の思いが、結果的にご家族の意見を一つに導くことに繋がった。ひとり一人・ひとつの家族を大切にした面談の積み重ねの重要性を、常に認識させていただいている日々である。